技術情報

論文表紙

テイストモディファイア®(特殊冷風乾燥機)の性能特性

テイストモディファイア®の製品が持つ秀でた技術の特徴は、食品に含まれる水分を、食材の表面を硬化させることなく均質に取り除くことであります。
そのため、その食材の食感を良くし、おいしさが一段階引き上げられます。さらに賞味期限を延ばすことが可能なためフードロス対策にも寄与しています。
当製品の製造は、GSK㈱の本社工場で開発から生産、販売まで一貫体制で行われています。
この製品が有する機能がつくりだす種々の効果に関する研究は、自治体の食品研究所、摂南大学および当社の3者の共同研究により実施されており、旨味成分の比較解析やオゾンによる食品の殺菌効果の評価などの研究成果として論文に採用されています。
 
又、当テイストモディファイア®は天候に影響されない全天候型で、毎日いつでも同じ時間に食品の水分を除去乾燥することが可能です。
即ち、自然環境における最良の状態の天日干しを機械で再現してつくりだしたと言って過言ではないでしょう。
さらには、自然環境でしかつくれない天日干しを当社のテイストモディファイア®は天然の天日干し以上に美味しく作ることを可能にしています。
テイストモディファイア®の開発にあたり、菌を増やさず、菌と汚れを外部から持ちこまないことを出発点とし、食材中の水分をいかに均質に抜くかは、風の条件を工夫することと食材が含有する水分を中心部と表面部分いずれも均質に抜く技術を使用しているからです。
 
その他乾燥については、低温乾燥によるツイン除湿の後、従来の3℃冷却・除湿とのW機能の組合せによって、より質の高い商品づくりと生産性を実現しています。
尚、テイストモディファイア®KF-2000型の仕組みは、棚アミ13段に中型のアジ開きをMAX130枚並べ、そこにウイングレット仕様のファンによって、毎秒2mのソフトな冷風を130枚全ての商品の食材に均一に当てることに成功しており、この技術はGSK㈱の特許として登録されています。
庫内ファンの羽根の先端部をウイングレット仕様にすることで、ソフトな風でも均一に遠くへ運ぶことを可能にし、又、運ばれてきた風を庫内手前において4方向へ戻すことによる循環方式と組合せることで、乾きムラを解消しています。
このソフトな風により、食材の表面硬化を起こさないことを実現している点が大きな技術の特徴になっています。
又、食材の中心と表面の水分を均質に抜くため、低温乾燥のツイン除湿により庫内湿度45%付近をキープするように設計しており、先ほどの食材の表面硬化を無くし、風を均一に食材に当てることを含め、時間と共に均質に食材中の水分が抜かれ、最終的には数時間を要してソフトなセミドライの状態になります。
その効果は、セミドライ品なのにドライ商品に比べ身がやわらか、しかも風味が残ったままです。ホタルイカの事例では乾燥前の姿のままで乾燥を終了しているため、従来のホタルイカと違い、食味も良く、商品価値を格段に高めます。
この効果についても別途研究論文として公開しています。
このホタルイカは、富山県の企業様が当社製品KF-2000型の機種を用いて、当時5年間で650万尾を乾燥され、市場で大人気商品となりました。
 
乾燥において一番使用するのはソフト干物製造用です。 ソフト干物製造のための乾燥時間は1~3時間の範囲で、乾燥終了後はすぐに3℃冷蔵・除湿において、最短30~60分で食材の品温を5℃まで冷却し、表面に水分を戻すことなく行う組合せになっています。
この冷蔵・除湿機能により、乾燥終了後はタイマーで冷蔵運転しておけば、他の仕事の合間にソフト干物製造に取り掛かれるので、作業する方々にとっては、とても便利になっています。
又、前日の夜に魚(商品)をセットすれば無人の深夜に乾燥運転が稼働でき、その後3℃冷蔵・除湿で無人運転の状態で翌朝を迎えられ、翌日にはすぐに自家製ソフト干物を売場に出すことが可能です。
尚、3℃冷蔵・除湿のみの機能として、食材中の水分を2~3%程度取り除いた食材や鮮熟で仕上げたい野菜、果物、お刺身のサク等にも有効に使用することができるようになっています。
 
最後に当社製品はHACCP対応仕様で製作しているため全てのパーツが水(海水)に強く又、オゾンにも影響されず、更には食品へ悪影響を与えない原材料を用いています。
又、当製品は食品の水分を除去し、乾燥していくことが目的ですが、HACCP対応のクリーンな乾燥を武器にしていますので、生で食べるもの(ハム系、ちりめん、干し芋等)では、衛生面の強化が更に求められています。
その機能は、作業終了後、洗い漏れの無い水洗い、乾燥中のオゾン殺菌、当製品の心臓部の冷却・除湿装置(コイル)内の洗浄度の高さにあります。
コイルは作業終了の水洗い後、冷蔵・除湿を30分カラ運転させることで洗浄度を格段に引き上げています。
その他では、乾燥庫内に汚れや菌を持ち込まないカートセパレートシステムを用いての作業のため、より衛生面が改善され、同時に商品を入れた最大の重さ41 kgになる中箱ユニットをスライドして引っ張る時の重さを3 kgまでに軽減しています。
尚、衛生管理は通常のマニュアル規定に準じて行うことが必要となります。

 

技術紹介

※上図 文部科学省 水産科資料より抜粋

世界中にある食品の原料には必ず水分が含まれている。
食品中の水分は存在形態や性質によって結合水と自由水に分けられる。
結合水… 食品の成分であるタンパク質や炭水化物と強く結合した水。
自由水… 環境や温度湿度の変化で容易に移動や蒸発がおこる水。微生物が繁殖に利用できる水。
この結合水と自由水の割合を水分活性値という。
そこで、加工食品を製造する過程において、原料に多く含まれている水分を適正な水分活性値に仕上げる作業が必要である。
しかし、現在流通している加工食品において、本当に適正な水分活性値に仕上がっている物がどれくらい存在しているのだろうか?
また、近年、「熟成」という言葉がもてはやされているが、熟成とは腐敗を伴うものであり、熟成事態が全て安全というわけではない。
しかし、当社では最先端のオゾン技術を駆使することで、食品を効率よく安全に適正な水分活性値に仕上げることで食品の鮮度をコントロールし、劣化させずに熟成、すなわち「鮮熟」させる事を実現した。

※上図 文部科学省 水産科資料より抜粋

※上図 文部科学省 水産科資料より抜粋